卒論代行・論文代行の書ける屋です。文学の論文テーマということで、「桃太郎」と朝鮮半島の「四人の力士」を題材として論文サンプルを公開します。文学で卒論を書く際には、海外のものと比較するのもオーソドックスな手法です。様々な作品を比較することで、従来の研究では見いだされなかった発見が出てくることも多いからです。
では、以下サンプルです。
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「桃太郎」と「四人の力士」を比較するにあたって、まずはあらすじを紹介する。
「桃太郎」
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山に柴刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました。おばあさんが洗濯していると、川上からどんぶらこどんぶらこと、大きな桃が流れてきました。
(内容をご存知の方が多いので中略)
鬼ヶ島に向かう途中、犬が出てきて「一つくださいきび団子。お供についていきましょう。」 次に猿が来て「一つくださいきび団子。お供についていきましょう。」今度はキジが飛んできて「一つくださいきび団子。お供についていきましょう。」犬、猿、キジの3匹は桃太郎の家来になり、船に乗って鬼ヶ島へ向かいました。
鬼ヶ島で酒盛りをしていた鬼たちに、犬はかみつき、猿はひっかき、キジはつっつきました。桃太郎は金棒を持った鬼の大将をやっつけました。「もう悪いことはしないか。」「もうしません。」
鬼が悪いことをして集めた宝物を車に積み、犬が車を引き、キジが綱を引っ張り、猿が後押しをして持ち帰りました。
「四人の力士」
一人の力士が姫の救出を目指して旅をしている。途中4キロ離れた木の葉にとまっている蠅に弾丸を命中させる力士に会い仲間にする。また風より早く走れる才能を持った力士に会い仲間にする。次は台風を自由に起こさせる才能を持った力士に仲間にする。
その後、魔法使いの怪盗に会い、走り競べに誘われる。風より速く走れる力士が担当するが、途中で居眠りをしてしまう。銃をうつ力士が枕に命中させ、やっと勝利をおさめた。怪盗は四人を閉じ込め、火をたいた。しかし、台風を起こす才能を持つ力士のおかげで無事に出る。怪盗の頭は最初の力士と激闘をして首を切られる。姫を救い出したことで、王様は最初の力士を婿にした。
桃太郎も四人の力士も道中で個性的な才能のあるものを仲間にし、倒すべきものや目標のために冒険をする。そして、褒美を手にするのは、最初に目標を立てた桃太郎と最初の力士という点も共通する。
これらのストーリーから見えるのは、当時、自分から何か事を始めた人が得られるメリットの大きさである。自分から何か事を成し遂げようとする人のもとには、必要な人材が集まり、最終的には目標を成し遂げられる、というメッセージが両方の物語にこめられている。それと同時に、リーダーに追従するものにとっての最大の報酬は、名誉や資産ではなく、その才能を発揮する場が与えられることであるという点も共通している。
桃太郎では、犬はかみつき、猿はひっかき、キジはつっつくという才能を発揮して桃太郎の目標達成に貢献した。だが、かみついたりひっかいたりつっつくという能力は日常的にはほとんど役に立たない。本来ならば「きびだんごを恵んでもらえる」ほどの価値はない。
四人の力士では、4キロ先に弾丸を命中させたり、走る才能や、台風を呼ぶ才能も、日常生活で生かされる機会はほとんどない。桃太郎や最初の力士に協力して貢献したにも関わらず、たいした褒美を得られなくてかわいそうだと見ることも可能だが、彼らにとってかわいそうなのは、ずっと「才能を発揮する場がなかった」ことではないだろうか。桃太郎では、きびだんごすら桃太郎と出会うまでは恵んでもらえず、四人の力士の他の三人の力士は才能を発揮する場所すらなかった。もし、優れた桃太郎や最初の力士のようなリーダーと出会わなければ、彼らは何もなすことなく埋もれていたであろう。そう考えるならば、彼らは「才能を発揮する場」という最高の報酬を手にしたと見ることも可能である。
その一方で、リーダーであった桃太郎と最初の力士は莫大な報酬を手にする。これは、打ち立てていた目標の大きさによるのではないだろうか。大きな目標を打ち立て、その実現のために周囲を巻き込み、苦難を乗り越えて成功するにはふさわしい報酬だと、物語の作者だけでなく、両国における読者たちの支持が積み重ねられてきた証しだと筆者は考える。
では次に、桃太郎と四人の力士の差異に着目する。桃太郎では、猿もキジも犬も、最初にきびだんごを恵んでもらったことで仲間になった。そのため、適切な仕事をし、能力を発揮した。それに対して、四人の力士では金銭や物のやりとりが見られない。無報酬だったのである。そのため、速く走れる力士はあろうことか途中で居眠りをしてしまう。寝てしまう、という行為から、最初の力士のミッションへの情熱を感じていなかったのではないだろうか。また、そのミッションへの情熱のためには、金銭なり物なり、何らかの要素が必要だと考えられる。
それから、重要な差異として、倒すべき相手に対して自発的に向かっていったのが桃太郎なのに対し、四人の力士では倒すべき相手が向かってきた点が挙げられる。桃太郎には、最初から鬼という倒すべき相手が思い描かれていた。だから、道中で動物たちを餌付けしてでも仲間に引き入れた。それに対して、四人の力士では倒すべき相手が最初は見えていなかったのではないだろうか。もし相手が声をかけていなかった場合、話が成立しなかったであろう。この点について、筆者は島国で逃げ道がない日本と、大陸で逃げ道ならいくらでもある朝鮮半島の歴史の差異があると考える。目の仇がどこにいるか、日本ではわかる文化なのに対し、朝鮮半島では必死に探して見つけ出すなど、幸運に頼るべき部分があったのではないだろうか。そのため、四人の力士は、相手に声をかけられるという千載一遇のチャンスを生かすという筋立てになったのだと考えた。
(サンプル、以上)
次回の記事では、上記サンプルの解説をします。
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